特別試合 シングルマッチ 30分1本勝負
●小島聡 vs 三沢光晴○
26分34秒 片エビ固め (タイガードライバー91)
何よりも楽しみにしていたこの試合。
昨日やっとこさノーカットで見ることができた。
いやーいい試合だった。
エルボー合戦。
小島にとってもエルボーというのは大事な要素。
そして逆水平。
受ける三沢の表情もイイ。
気のせいかもしれないが、三沢の表情がすごく楽しそうに見えた。
三沢をコーナーに放って、
走りこんでの背面エルボー。
「いっちゃうぞエルボー」はココでは使わず。
これは至極当然の流れ。武藤とのやり取り等で、
小島が化けることにおいての最もわかりやすい意思表示。
CWアームロック、スリーパー、ステップオーバーフェイスロックなど、
グランドでの攻防も十分披露。
更には小島がエルボーかわしてジャーマン、
三沢がタイガーSホイップなど、
投げ技で加速度を増してゆく。
この日は小島がプランチャ、エプロン走ってのコンヒーロ、
三沢がエルボースイシーダ、エプロン走ってのエルボーアタックなど、
空中戦も多いに見せる。
三沢がロープフェイント回転でエプロンに着地するやつ。
タイガームーブ。アレを失敗。
ああいう思い切った失敗ははじめて見た。
ただそのあと落ち着いてフォローするのが流石。
技の失敗はフォローできなかった時点ではじめて失敗。
そういった落ち着きが見えた。
コジコジカッター、掟破りのタイガードライバーなど、
攻勢を見せるも、どれも単発に。
そこに追い討ちをかける、エプロンからの断崖タイガードライバー。
ここで小島の動きが止まり、しんどい時間帯に。
三沢のタイガードライバーをくらうもキックアウトし、
後頭部へラリアット。三沢、足から崩れる。
だが腕殺しの裏十字等で攻勢を取り戻し、
完成度の高いエメラルドフロウジョン。
誰もが決まったと思えるインパクトを持って放ったこの一撃だが、
これを寸前でキックアウト。
この日詰め掛けたノアファン、全日本ファンは、
正直ココで終わったと思ったことだろう。
ただ、ここで終わってしまっては小島には何の意味も持たない、
ただ胸を借りる試合になってしまう。
観客の誰かが「小島、ここからだぞ!」と叫ぶ。
その通り。ここからのふんばりが小島のこの先を決める。
攻勢をかけたい小島、ハンセン式の左腕ラリアット、
エルボーをかわしてのショートレンジラリアットと畳み掛けるが、
3カウント奪えず。
三沢は磐石の態勢から、タイガードライバー'91を解禁。
ついに3カウントを聞くことになった。
いやいや、本当にいい試合でした。
なにはともあれ、小島ファンの一人として三沢に感謝、感謝。
あれだけ真正面から受けてくれて、最上級の攻めをしてくれて。
小島を認めてくれたことを心からうれしく思います。
私は今の現状で全日本のリングに上がってくれた三沢が、
三沢が三沢であってくれたことに感謝します。
そして小島はこの試合で最高の経験を得た。
それはエメフロだとか断崖タイガードライバーだとか
タイガードライバー'91だとかそういった技を受けたことではなく、
今この時期に三沢と試合ができたこと。
最高のラリアットをキックアウトされたこと。
全てが今後の小島の糧になる。
「感激した」という小島の言葉を否定した川田。
それは間違いではないかもしれないが、
小島は小島でイイ。
従来のトップ選手のような登りつめ方をしなくても、
小島は小島だけのトップレスラー像を作ってもらいたい。